日本アクティブ・ラーニング学会趣意書

今般の高大接続改革に代表される教育改革は戦後最大の大改革と呼ばれています。これから日本が直面する、超高齢化超少子化社会、グローバル社会、人工知能の発展…

人口構成の大変動によって社会の在り方も激変し、テクノロジーによって生活も産業も変貌し、グローバル化によって多文化の中で共生せざるを得なくなります。これらは今の大人たちにも予想のつかない変化です。

したがって、これからの教育は、大人が体験したことのない、予想もし難い社会を迎える子どもの能力を、どのように育むかが最大の焦点になってきます。そのために、今回の教育改革では主体的な学び、対話的な学び、深い学び、協働的な学びといった、「アクティブ・ラーニング」の実現が必要であるとされています。主体的かつ能動的な学びができるアクティブ・ラーナーを社会に送り出すこと、つまり「何を教えるか」ではなく「どのように学ぶか」が、教育に携わる教職員、それをサポートする人たちの視点の転換が必要になって参りました。

しかし、これらの視点の転換は両刃の剣となりうること、そもそもその実現に多くの困難が予想されることが、多くの関係者によって指摘されていますが、そういった懸念を乗り越えて、この改革は成功させなくてはなりません。

そのために、私たちは、本学会の設立を企図しました。

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日本アクティブ・ラーニング学会は、学校教育にかかわる教員・研究者・企業が研究・実践を通して、広くその成果を共有し、普及・啓発活動をもとに、教育の質的向上に資するために設立いたします。

私たちは、高大接続改革・学習指導要領改訂が進む中で、アクティブ・ラーニングの研究とその成果を生かし、あまねくアクティブ・ラーニングが実現するよう研究者、実践者、企業へ協力・参集を募るものです。それぞれが立場や背景によって意見の違いもあるかもしれませんし、時にはクリティカルにアクティブ・ラーニングをとらえることも必要になってくるでしょう。また、ICT機器の活用、国際バカロレアなど新しい制度への取り組み、教員研修、地域や企業など学校外との連携など、教室の範囲を超えた広い視野が必要になります。

そういった現状に対応するために、本学会の一つの特徴としては、研究者と実践者、さまざまな校種、現場の教員と学校経営側(管理職、職員)、教育界と実業界(一般企業/教育支援企業)と立場の違う関係者がその垣根を越えて、情報交流・共有、共同研究、討論、また、知見の活用を進めていくことです。そして教育改革の推進力となり、特に初中等教育の教員の方々に発表や連携の機会を多く提供したいと考えています。

そして、教育の世界ではアクティブ・ラーニングが当たり前のこととなり、アクティブ・ラーニングの普及・推進といった本学会の目的を達成し、2030年をめどに本学会は解散することを目指します。

平成28年9月12日
発起人代表