平成29年2月14日、文部科学省から「小学校学習指導要領案」ならびに「中学校学習指導要領案」が公表されました。これらの中では、総則、各教科、総合的な学習の時間、特別活動において、「主体的・対話的で深い学び」の実現が大きく取り上げられています。
これらの新しい学習指導要領の改訂に先立ち、初等中等教育における教育課程の基準等の在り方については、平成26年11月20日に、文部科学大臣から中央教育審議会に対して、「課題の発見と解決に向けて主体的・協働的に学ぶ学習(いわゆる「アクティブ・ラーニング」)や,そのための指導の方法等を充実」すること等が諮問されました。
学習者が能動的に学ぶアクティブ・ラーニングについては、1980年代のアメリカ高等教育学会(American Association for Higher Education)の研究グループによる報告「Seven Principles for Good Practice in Undergraduate Education」(Chickering, A. and Gamson, Z. 1987)に遡ることができます。この中でアクティブ・ラーニングは「Encourage Active Learning」として取り上げられ、大学学部教育における優れた実践のための原則の1つとして、多くの高等教育機関のFDに貢献することとなりました。
アクティブ・ラーニングは、学習に向かう際の学習者の能動的な態度に焦点を当てたものであり、その手法や指導の方法の開発には、今までも国内外の数多くの教育者や研究者が取り組み、実践知を蓄積してきました。そして、こうした学習や指導方法が、知識や技能を定着させる上でも、また、学習者の学習意欲を高める上でも効果的であることが、これまでの成果から指摘されています。
日本アクティブ・ラーニング学会は学術研究団体として、学習者が能動的に学ぶアクティブ・ラーニングについて、学校を含めたすべての教育にかかわる機関・団体・企業・研究者・教育者が連携しながら、アクティブ・ラーニングに関連した手法や指導の方法、その評価、アクティブ・ラーニングを促進する物理的な教育環境など、アクティブ・ラーニングを巡る諸課題をテーマとして、年次大会や研究会の実施、研究雑誌の発行等を通じて、アクティブ・ラーニングの向上発達に取り組んでまいります。
会長 米田 謙三